藤目節夫のブログ

まちづくりに関することが多いですが、それ以外にも、徒然に思うことを書きます。

品格のあるまちづくり

 ゆるキャラ・B級グルメ・軽トラ市、これらは、近頃目につくまちづくりのテーマである。話題性や賑わい創出という点で一定の評価ができるが、少しばかり気になることもある。それは、あたかもまちづくりが、この種の活動だけで完結するがごとき風潮が少なからず見られることである。

 かつて藤原正彦氏は、国家には品格が必要なことを、ベストセラー『国家の品格』の中で唱道したが、その品格の必要性は国家に止まらず、地域(町や村)においても然りであろう。

 品格のあるまちを正確に定義するのは容易でない。敢えて定義すれば、外面的には美しい景観を保全し、内面的には良き伝統・文化・暮らしの価値観などを継承しているまち、とでもなるであろうか。

 分けても、景観まちづくりは喫緊の課題であると言えよう。徳島県祖谷の住人であったアレックス・カー氏は、著書『美しき日本の残像』の中で、もはやこの国では、美しい景観の「残像」しか垣間見ることができないと慨嘆している。

 遅ればせながらでも、「景観へのまなざし」を人々の心に醸成することが必要である。「景観法」を活用した景観計画づくりが必要なのは論を俟たないが、先ずは身近なところから景観問題に取り組むことが現実的であろう。さしあたっては、見苦しい立て看や幟に目を向け、これの規制運動から始めてはいかがであろうか。

   (愛媛新聞・平成26年5月22日 「伊予弁」 一部修正加筆)